帷一つ・墨三長・筆五官給び候い了んぬ、観心の法門少少之を注して大田殿・教信御房等に奉る、此の事日蓮身に当るの大事なり之を秘す、無二の志を見ば之を開〓せらる可きか、此の書は難多く答少し未聞の事なれば人耳目を驚動す可きか、設い他見に及ぶとも三人四人坐を並べて之を読むこと勿れ、仏滅後二千二百二十余年未だ此の書の心有らず、国難を顧みず五五百歳を期して之を演説す乞い願くば一見を歴来るの輩は師弟共に霊山浄土に詣でて三仏の顔貌を拝見したてまつらん、恐恐謹言。