同志と共に

トップページへ戻る

上野殿御返事うえのどのごへんじ

鵞目十連・かわのり二帖・しやうかう二十束・給候い畢んぬかまくらにてかりそめの御事とこそ・をもひまいらせ候いしに、をもひわすれさせ給わざりける事申すばかりなし、こうへのどのだにも・をはせしかば・つねに申しうけ給わりなんとなげき・をもひ候いつるに、をんかたみに御みをわかくして・とどめをかれけるか・すがたのたがわせ給わぬに、御心さひにられける事いうばかりなし、法華経にて仏にならせ給いて候とうけ給わりて、御はかにまいりて候いしなり、又この御心ざし申すばかりなし、今年のけかちにはじめたる山中に木のもとに・このはうちしきたるやうなる・すみか・をもひやらせ給え、 このほど読みました御経の功徳の一分を、故上野殿へ廻向申し上げました。ああ人はよき子をもつべきものであるなと、涙をおさえることがてきませんでした。 妙荘厳王(みょうしょうごんのう)は浄蔵・浄眼の二子によって仏道へ導かれました。かの王は悪人ですが、故上野殿は善人です。彼には似るべくもありません。南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経。 七月二十六日 日蓮花押  御返事。 人にあながちにかたらせ給うべからず、若き殿が候へば申すべし。