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甘露の味に背き、正法の流れを失い、威光及び勢力が無くなり、悪趣を増長し、人天を損減し、生死の河に墜ちて涅槃の路に背くであろう。世尊よ、我等四天王並びに諸の眷属及び薬叉等は、このような事を見て、その国土を捨て擁護の心を無くすであろう。ただ我等のみがこの王を捨てるのではなく、また無量の国土を守護する諸大善神も皆ことごとく捨て去るであろう。既に捨てて離れたならば、その国にはまさに数々の災禍が起こり、国位を喪失するだろう。一切の民衆はすべて善心がなくなり、ただ束縛・殺害・争いのみとなり、互いに謗りあい、諂い、無実の人を罪に陥れるであろう。疫病は流行し、彗星はしばしば現れ、太陽が二つ並んで現れ、日食や月食が頻繁に生じ、黒白の虹が不吉の相を表わし、星が流れ、大地は動き、井戸の中から音声を発し、暴雨や悪風が季節に依らず発生し、常に飢饉に遭って苗や実もならず、他国から多くの怨賊が国内を侵略し、人民は諸の苦悩を受けて、楽しく住む土地はなくなるだろう」
この経文を見ると、世間の安穏を祈っても、国に三災が起こるのは、悪法が流布しているからであると知ることができる。したがって今の世は随分と国土の安穏を祈っているが、去る正嘉元年には大地が大いに動き、同二年には大雨・大風があり、苗実を失った。このことから間違いなく国を滅ぼす悪法がこの国にあると考えられるのである。
選択集のある段に「第一に読誦雑行とは先の観経等の往生浄土の経を除いて、それ以外の大・小・顕・密の諸経を受持・読誦することをことごとく読誦雑行と名づける」と書き終えて、次に「次に二行の得と失を判断すると、法華や真言等の雑行は失であり、浄土の三部経は得である」と書いている。そして善導和尚の往生礼讃の"十即十生・百即百生・千中無一"の文を引用して「私見を述べると、この文を見るといよいよ雑を捨てて専を修すべきである。どうして百即百生の専修正行を捨てて、千中無一の雑修雑行に固執するのか。行者はよくこれを思量しなさい」とある。これらの文を見て、世間の道俗がどうして諸経を信じることができようか。
次にまた法華経等の雑行と念仏の正行の勝劣・難易を判定して書いている。「一に勝劣の義、二に難易の義がある。はじめに勝劣の義とは、念仏は勝、余行は劣である。次に難易の義とは、念仏は修し易く諸行は修し難い」
また次に法華・真言等の失を判定して書いている。
「故に知ることができる。諸行は機根にあわず時にかなっていない。念仏往生のみ機根にあい時にかなっている」
また次に法華・真言等の雑行の門を閉じて書いている。
「随他の前ではしばらく定・散の門を開いたけれども、随自の後はかえって定・散の門を閉じた。
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